LA建築視察No.4
因みに今年の雑誌Pen6月号の表紙も飾ったこの建物、当日はこの屋上を使ってドイツビールのCM撮影が行われていました。
ダウンタウンの街並みを、見下ろす屋上プールが澄んだ青空に映えます!
オーナーの目利きによる調度品や家具など洗練されたセンスの良さがうかがえます。
ここの窓から見える風景は、まるで1920年代にタイムスリップしたかのような本物のアールデコの街並みが見下ろせました。
ショップの空間はインダストリアルな物とシャビーな木の感じや色合いが、街の風景や雰囲気とも溶け込みとても格好良かったです。
ビバリーヒルズの山の斜面に寄り添うように建つこの建物。エントランスは低く抑えられ、これから待ち構える内部空間の序章的な見え方に期待がふくらみます。
すると対面には透き通るガラスの壁が徐々に現れてきます。下は水盤の池になっていて、飛び石から錦鯉が気持ち良さそうに泳いでいるのが見えます。
その奥には鋭角広がりなプール~三角形に切り取られた見事なLAの街並みへと視線が連続していきます。
造り付の家具も三角形や台形などをモチーフに、その空間や方向性に合わせて慎重に配置されています。
造り付けの家具や植物も内外の区別なく、浸食していて不思議な空間体験が出来ました。
壁らしい壁は存在しなく、当然サッシ開口部はなく、すべて透き通るフレームレスガラスで内部と外部を緩やかに分け、周囲の緑豊かな環境に守られた気持ち良い生活ができるようになっています。
フレームレスな鋭角の突付ガラスは電動で両側に引き込まれ眼下には緑豊かな山の斜面と広大なLAのパノラマが広がり、斜面を吹き登ってくる太平洋からの乾いた風が気持ちいい。
周囲からは数十年かけて育った山の緑と建物とガラスが同化し、存在がはっきりと分からないような見え方です。
大きな穴のような開口部が電動で開閉し、朝から夜までの時間のうつろいや環境体験をできるようなこのアートハウス、個人邸にこれがあるとは驚きです。さすがビバ・アメリカ!
この建物との出会いは今から約20年前の大学生時代。たまた購入した建築雑誌GA HOUSE 32号でジョン・ロートナー特集を見たのがきっかけです。
まさか自分が個人宅のこの建物を実際に体験できるとは、まるで夢のひと時のような至福の時間でした。
一般公開はされていない為、もう二度と体験することはできないでしょう。今回は本当にラッキーでした。
今回のこのツアーの一部は、最近復刊した伝説の雑誌CAL(キャル)の12月29日発売号:ヴィンテージ住宅特集に掲載予定とのことです。