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LA建築視察No.4

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1920年代の建物が今も建ち並ぶダウンタウンに1930年代に建てられたアールデコの百貨店:Broadway-Loft。ブルータイルの大きな時計台とロゴが特徴のこの建物が143軒のコンドミニアムロフトにリノベーションされ、世界的にも有名なランドマークとしてよみがえりました。
因みに今年の雑誌Pen6月号の表紙も飾ったこの建物、当日はこの屋上を使ってドイツビールのCM撮影が行われていました。
ダウンタウンの街並みを、見下ろす屋上プールが澄んだ青空に映えます!
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拝見させて頂いた一室はクラシカルモダンに改装され、ヴィンテージ家具の似合う居心地の良いロフトになっていました。
オーナーの目利きによる調度品や家具など洗練されたセンスの良さがうかがえます。
ここの窓から見える風景は、まるで1920年代にタイムスリップしたかのような本物のアールデコの街並みが見下ろせました。
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お昼の後は日本にも上陸間近のコーヒー界のアップルと呼ばれている「ブルーボトル・コーヒー」をひと足先に味わってきました。
ショップの空間はインダストリアルな物とシャビーな木の感じや色合いが、街の風景や雰囲気とも溶け込みとても格好良かったです。
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手間をかけて淹れられているコーヒのお味も格別。ブルーボトルのロゴも小振りでお洒落、日本でもブレイク間違いなしでしょう。
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そして僕自身このツアーの最大の愉しみである、LAの建築家:ジョン・ロートナー設計による『Goldstein House:1963年』の見学、ついにその時がおとずれました。
ビバリーヒルズの山の斜面に寄り添うように建つこの建物。エントランスは低く抑えられ、これから待ち構える内部空間の序章的な見え方に期待がふくらみます。
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エントランスから続くダグラスファーの板張り天井に導かれるように、亜熱帯のジャングルの奥地に向かうような長いアプローチを奥へと進んで行きます。
すると対面には透き通るガラスの壁が徐々に現れてきます。下は水盤の池になっていて、飛び石から錦鯉が気持ち良さそうに泳いでいるのが見えます。
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そして三角形のワッフルスラブの屋根天井を持つリビング。
その奥には鋭角広がりなプール~三角形に切り取られた見事なLAの街並みへと視線が連続していきます。
造り付の家具も三角形や台形などをモチーフに、その空間や方向性に合わせて慎重に配置されています。
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天井の三角形のワッフルスラブには無数の小さな丸い穴が空き、やさしい光をとどけます。
造り付けの家具や植物も内外の区別なく、浸食していて不思議な空間体験が出来ました。
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岩山の斜面を削り生活の場となるコンクリートのオープンエンドな洞窟のような空間。
壁らしい壁は存在しなく、当然サッシ開口部はなく、すべて透き通るフレームレスガラスで内部と外部を緩やかに分け、周囲の緑豊かな環境に守られた気持ち良い生活ができるようになっています。
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地下のマスターベッドルーム。
フレームレスな鋭角の突付ガラスは電動で両側に引き込まれ眼下には緑豊かな山の斜面と広大なLAのパノラマが広がり、斜面を吹き登ってくる太平洋からの乾いた風が気持ちいい。
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岩山の斜面に三角形のキャンティで、飛び込み台のごとくスラブとガラスが突き出しています。
周囲からは数十年かけて育った山の緑と建物とガラスが同化し、存在がはっきりと分からないような見え方です。
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庭のジャングルのような岩山を数十メートル下っていくと、なんとジェームズ・タレルの巨大なアートが存在しています。
大きな穴のような開口部が電動で開閉し、朝から夜までの時間のうつろいや環境体験をできるようなこのアートハウス、個人邸にこれがあるとは驚きです。さすがビバ・アメリカ!
この建物との出会いは今から約20年前の大学生時代。たまた購入した建築雑誌GA HOUSE 32号でジョン・ロートナー特集を見たのがきっかけです。
まさか自分が個人宅のこの建物を実際に体験できるとは、まるで夢のひと時のような至福の時間でした。
一般公開はされていない為、もう二度と体験することはできないでしょう。今回は本当にラッキーでした。
今回のこのツアーの一部は、最近復刊した伝説の雑誌CAL(キャル)の12月29日発売号:ヴィンテージ住宅特集に掲載予定とのことです。
by maenaoarchi2010 | 2014-10-30 10:02 |