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五百淵の鍵形(ごひゃくぶちのかぎがた)/(株)安積商会

風致地区の店舗併用住宅を改め、五百淵の鍵形(ごひゃくぶちのかぎがた)としました。

以下、設計主旨をご覧ください。また、完成写真もアップします。

撮影 (有)朝日カラー 伊藤秀樹



桜の名所と野鳥の楽園でもある五百淵公園に近接した、交通量の多い国道沿いの敷地。

今も五百渕池や山林などの自然が残り、良好な自然的景観を維持するため五百淵風致地区に指定され、色彩や高さ制限、外壁面の後退距離、緑化面積の確保など一定の規制がされている。しかし周りには、にぎやかで派手な看板や建物など、風致地区の景観への配慮はあまり感じられない。

そこで、これら雑然とした風景に対して、素材や色彩をおさえ、通りに対して建物の構えが静かにメッセージを発信し続けるような、つつましい建築にしたいと考えた。

今回は、この土地で50年近く鍵屋を営んでいる店舗併用住宅の、移転による建て替えである。

建物形状は、鍵屋から発想し鍵形をモチーフとした。店舗と住宅が「かぎの手」の直角に曲がった形で、これらがオープンな店舗とプライバシーのある住宅の関係を築き、庭をL型に囲んでいるイメージとした。

手前の店舗は間口をなるべく広くとり、平屋として高さをおさえた。垂木表しの深い軒と外壁の板張りが、素材感と凹凸のある陰影を生み、寄り付きと控えめな表情を、国道沿いにもたらしている。また、前面の国道が計画道路であるため、建物をセットバックし、駐車場と庭の余白を確保した。この庭に植樹をし、緑の奥に建物があるよう、風致地区らしい佇まいにしたいと考えている。内装には木や板張りを使い、取り扱う鍵や金物、機械といった金属素材と対峙させ、それらが浮かび上がって見えるように考えた。またこれにより、住まい手やお客が温もりを感じ、リラックスできる居心地の良い空間となればと思っている。

奥にある2階建ての住宅部分は、奥行の長い敷地を活かし、国道から離れをとり、店舗とは違った静けさと奥行きの感じられる、路地のようなアプローチとした。この路地の奥には、町屋のように囲まれた庭と、豊かな空間のある住まいが少しだけ見える。

内部は店舗から続くように、自然素材を基調とした木と垂木表しの空間が、奥行きを感じさせる。店舗と行き来のし易い回遊できる間取りとし、昔からある土間ように住まいと店舗が暮らしと共に営まれ、垣間見られる関係を意図している。

国道からは、こげ茶色の金属外壁に包まれた住宅2階部分の、5寸勾配の切妻屋根と正方形窓のあるシンプルな形が、店舗の奥に控えめに佇んでいる。

この建築がまたここで、風景に寄り添い静謐な存在感を放ち、忘れられていた風致地区らしさを気付かせてくれる、きっかけになれればと思っている。

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by maenaoarchi2010 | 2020-01-21 15:29 | 五百淵の鍵形 | Trackback | Comments(0)
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